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ガモウニュースVol.74の撮影の舞台裏☆ PEEK-A-BOO 高澤 光彦 氏
Editor
梅村 直顕2016.01.28 Thu
先日発行されたGAMO NEWS Vol.74、お手元に届き始めていますでしょうか。
今号のテーマは、「NEW WORLD」
ガバー&グラビアページは、PEEK-A-BOOの高澤 光彦氏に手掛けていただきました。
ガモウニュース編集部による高澤氏へのインタビューをご紹介します!
PEEK-A-BOO 高澤 光彦氏がイメージするNEW WORLDとは
いつも時代は新しく変わっていくので、「NEW WORLD」って、「今」。今の女性感かなと思います。
多様性が実現していて、型にはめられた感じではありませんよね。
ジェンダーフリーだし、すごくエレガントなものとカジュアルなものを組み合わせるなど、
ファッションも自分なりに上手くミックスして楽しんでいる時代です。
そんな、彼女たちの持っている多様性や女性感が上手く引き出したいと思いました。
プロフェッショナルとして、僕が作品づくりで心掛けていることは、
攻撃的過ぎたり、不健康だったり、不潔だったり、
そういう人に嫌悪感を与えるような作品は作らないということです。
撮影という非日常な世界ではありますが、
モデルさんに「今日はこのフィギュアになりなさい」と押しつけるのではなく、
その人の人間性が現れた作品を常に作りたいと思っています。
人は不完全なものですが、それぞれの良さがキラッと光るような作品になっていたらいいなと思います。
□表紙作品
ジャケット、パンツ/ともにhoss(DUAL VIEW tel.03-5721-2240)
カーディガン/STEFANEL(ステファネル青山店 tel.03-3796-5899)
□コンテンツページの作品
□中面の作品
(左)ブーティ/BRUNO PREMI(DUAL VIEW tel.03-5721-2240)
(右)ニット/Black Mouton(ASCENT tel.03-5778-3122)
表紙とコンテンツのスタイル
一見、メンズライクに見えるベリーショートですが、乾かしていくと丸いフォルムに見えるようにカットしています。
表紙のスタイルは、ジェルで固めて、わざと四角く見えるようにスタイリングし、メンズライクな印象に仕上げました。
コンテンツのスタイルは、ワックスでツヤを出し、もう少し柔らかく丸く見えるようにスタイリングしています。
前髪も上げるのと下ろすのでは、女性像も変わりますね。
中面のスタイル
2セクションのショートボブです。ショート系のボブは、男っぽく、硬い印象に見えてしまうので、カラーはハイトーンにハイライトを入れ、少し陰影をつけることで、立体感や動きが感じられるようにしています。
左ページのスタイルでは、思いきって印象を変え、アイロンでしっかり巻いてクセをつけました。
着ていたのがローゲージニットなので、スタイリングもざっくりとした印象になったらいいかなと思いました。
ショートカットでも、カールをつけたことでより丸みと立体感が出て、可愛らしくカジュアルな印象になりました。
首元をスッキリさせているので、今季トレンドのタートルネックに似合うスタイルだと思います。
ショートヘアでも女性らしい、アレンジの効くカットを提案
今回、1つのカットで2パターンのアレンジを作りました。
ショートカットって、女性にとってある意味、リスキーですよね。
ひとつ目のリスクは、色気や女性らしさが失われてしまうのではないかということです。
しかし、カットで後頭部のウエイトの位置を上げ、襟足をタイトに締めて
丸さとくびれを作れば、長くて細い首元になり、エレガントで女性らしい印象になります。
また、ショートヘアは、アレンジが効かないと思われている方も多いですが、
少し分け目を変えたり、耳に掛けたり、巻いたり、前髪の表情を変えることで随分違った印象になります。
美容室でアレンジをしてもらうことも楽しみではあるのですが、
私は、お客様ご自身が日常でアレンジができることが大切だと思っています。
そのために、ちょっとしたテクニックを足せば3パターンぐらいのアレンジが可能なベースをしっかり作っておくことが必要です。
今回の撮影も、サロンワークでやっていることと同じです。
しっかり計算をして、技術を駆使すれば、ショートヘアのリスクはカバーできる。
そうした提案や考え方ができるようになるといいと思います。
撮影もサロンワークも「街にいる人達をキレイにする」がテーマ
僕は美容師ですし、サロンワーカーなので、「街にいる人達をキレイにする」というのが大きなテーマであり目的です。
それは、撮影でもヘアーショーでも同じなのです。
ファッションも撮影だからといって特別なものではなく、
今、街で着られるリアルクローズをスタイリストさんに用意していただきました。
僕はサロンワーカーとして、毎日の仕事を楽しんでいるのでストレスがありません。
作品だからといって、日常で出来ないものを作りたいとか
ウィッグを使って何かをしたいというタイプではないのです。
サロンワークとクリエイティブは、同じだと思っているんですよ。
クリエイティブは作ったものがクリエイティブなのではなく、
クリエイティブなマインドを持って作ったものがクリエイティブなのです。
撮影でもクリエイティブなマインドを持たずに、ただ面白がって、
「これをやったら目立つだろう」と短絡的な考えで作れば、それはクリエイティブではない。
また、シンプルなものを作っても、長さ1ミリにこだわったり、5ミリの長さに似合うものを探して作れば、
それは充分クリエイティブだと言えます。
たまに「私はあまりクリエイティブなものが作れない」と自分を卑下する人がいますが、
その必要はないと思うのです。
その人がしっかり考えて工夫をしていれば、それは充分クリエイティブなのです。
伝承を大切にしているから、PEEK-A-BOOは長く続いている
撮影の現場では、若いスタッフに経験をさせながら、指導をしています。
それは、経験をさせないと次の人が生まれてこないと思うからです。
僕らはチームで仕事をしているので、代表だけがいいというのでは困ります。
この先も長く続いていくチームだと思うので、経験を共有していくことは大切。
「背中を見て覚えなさい」というのもいいのですが、実際に若手に任せることで責任を持ってやってくれるようになります。
それに、見ているだけじゃなくて、一緒にやろうよという方が、お互いに楽しいかなと思うのです。
僕も同じように、川島文夫先生から仕事を任されて今があります。
伝承することを大切にしてきているからPEEK-A-BOOは長く続いているのだと思います。
ウチはいつもこんな感じですよ、お店でも。
撮影の時だけやろうとしても上手くはいきませんからね。
スタッフにもスタイリングのパートを任せることができたり、
撮影カット数が多くてもスムーズなのは、
私達が前もってリハーサルを重ね、段取りを組んでいるからです。
事前にモデルさんに来てもらい、カットをした後にどういうカラーをするか、
スタイリングはどうするか、どのような段取りでいくか、チームで入念な話し合いをしています。
プロファッショナルとして仕事をいただいている以上、責任がありますから。
一発勝負で臨んで、現場で何度もやり直しをするのは、考えられないことです。
若い美容師さんにメッセージ
若い美容師さんにとって、この先どれぐらいの年数、美容師をやりたいのかにもよりますが、もし、20代で美容師を辞めてしまうのなら好きに楽しんだ方がいいと思います。
でも、40代になってもやっていこう、一生の仕事としてやっていこうというのであれば、20代の10年間はとても大切な時期です。
土台になる時期なので、しっかりと正しい技術を身に付けていったほうが、その後に楽しみが来ると思います。
インスタントな美容師になってもらいたくはないですね。
技術を頭で理解するだけでなく、体に覚えさせていくのは、やはり時間も根気もいります。
でも、それは当たり前のこと。
流行りものをやるなということではなく、それもやるけど、
“ハイクオリティーな基本”をしっかり身につけていってほしいと思います。
COVER LOOK BY
MITSUHIKO TAKASAWA_ PEEK-A-BOO
HAIR/MITSUHIKO TAKASAWA (PEEK-A-BOO)
MAKE-UP/KAZUKO ARAKAWA(PEEK-A-BOO)
STAFF/CHIKA HONMA・AKI YOKOI・HAYATO MIYAMOTO(PEEK-A-BOO)
FASHION STYLIST/MITUHIRO MIURA
PHOTO/KENTARO MINAMI
MODEL/MIKI OHMORI・MIZUHO SHIBUYA
高澤 光彦
1977年の PEEK-A-BOO 創設に参加。
2006年5月・2015年2月、銀座エリア新規2店舗オープンに参加プロデュース。
お客様はもとより数多くの美容師からも絶大な支持を集める。
現在 、PEEK-A-BOOヘッドオブアートディレクター兼 副社長としてサロンワークを中心に、
国内はもとより、上海、北京、韓国 釜山、香港での講習・ヘアーショー・雑誌の撮影など幅広く活躍中。
近著に「シンプルカットのすすめ」がある。