GAMO KANSAI WEB MAGAZINE

販促・ブランディング

ガモウニュースVol.82の撮影の舞台裏☆ SCREEN 神谷 翼 氏

Editor

梅村 直顕

2017.08.07 Mon

GAMO NEWS Vol.82、お手元に届き始めていますでしょうか。
今号のテーマは、「Sensual」

異性にだけアピールするものではなく、その女性からそこはかとなく湧き上がる気配。五感のすべてに訴えかける魅力です。
カバー&ヴィジュアルを手がけていただいたのは、神戸・三宮『SCREEN』の神谷 翼氏。Coolな世界観を感じてください!

神谷氏がイメージする「Sensual」とは?

「Sensual」というテーマをいただいて、異性に媚びず、自立して自分の意思で思いのままに生きる。まさに今の女性像だなと思いました。僕もサロンワークの中で「凛とした」というワードをお客様に使うことがあります。

そして、僕の中では、もう一つそこに、若干のブラック・カルチャー要素を入れていきたいというテーマがありました。最近、ダンスをやっていた青春時代に聴いていたブラックミュージックを聴くとグッとくるものがあって、自分の中にべースとして植えついていることに気づいたのです。

それをそのまま出すのではなく、どういう風にミクスチャーして新しいものにするか。今の流行りとは違うのかもしれませんが、自分がコレと思うものを持ってくることで、時代に媚びていないものが創れるかもしれないと思ったのです。

僕は、今回これを創ったら、次回は全く違うものを創るというタイプだったのですが、今年一年は、ヒップホップ的なものを突き詰めたくなりました。年齢的にも、そろそろ自分の本当の「色」を構築する時期なのかなと思っています。今年は様々なクリエイションでこのテーマに挑戦していきたいと考えています。

□表紙作品


□中面の作品(右)


□中面の作品(左)


ブラックという「色」にもこだわった

ブラックミュージックの要素からというテーマもあるのですが、プラス、色もブラックを突き詰めたいと思いました。黒は、すごくモードな感じになる強い色です。誰でも黒を着れば様になる色だからこそ、ある意味、難しく、他と違いを出しにくい。

黒を纏った人たちをどういう風に表現するのか。カット、フォルム、質感。黒の中にも淡い黒がありながら、彩度の低い黒もあって、フォルムの中には細かい隙間の仕掛けもある。細かいデザインの構築をしながら、女性たちの凛とした雰囲気に馴染むように考えていきました。




カット・スタイリングのポイント

表紙の作品は、ショートの中でのアップスタイルとダウンスタイル。ベースラインはすごくシンプルなのですが、隙間の作り方など絶妙なところで、自分らしさや女性の色気を出したいと思いました。

2人の顔の系統が異なるので、髪の質感をウェットとドライという感じで対照的に仕上げてみました。








日本人にしかできないデザインを追求するのが面白い

モデル選びに関しては、イメージだからに合わせたモデルさんを集めるのではなく、モデルさんが決まってから、その人に似合わせたデザインを創るように心がけています。

日本人のモデルで創るというこだわりは、すごくありますね。昔は、週1回程、外国人モデルを使って撮影をしていた時もあるのですが、外国人の方がどんなデザインでも似合うし、日本人の方が似合わせに限りがあります。でも、限りがある方が面白いし、出来るだけ地毛でクリエイションをしたいと思っているので、自分でクリエイションを創る時は日本人を使うことが多いです。



イメージを形にするプロセス

イメージを形にする時、最初にデッサンを描くことが多いです。小さい頃から絵は得意で、ずっと描いていました。ドラゴンボールのキャラクターなども、髪の毛流れや立体感をしっかり描いていましたね。

今、作品を創る時もサロンワークで髪を創る時も、モデルさんに重ねて透明の絵を描いている感じなのです. それを落とし込んでバーっと形にしていく。

今回は、シンプルな素材の中で、現場の空気で探りながら創っていった方がいいかなと思ったので、デッサンは用意しませんでしたが、絵がはっきりしている時はデッサンを見せてカメラマンやスタッフとイメージを共有しています。



日々のすべてがクリエイティブだと思っている

僕がクリエイティブを始めたのは、スタイリストになってすぐの頃からです。当サロンでは、今回のようにサロン内でも作品撮りを頻繁に行うので、部活みたいです。クリエイティブ部(笑)。これも当サロンの一つの色なのかなと思います。

クリエイティブというと作品やコンテスト、ヘアショーなどが思い浮かぶと思うのですが、僕はサロンワークもクリエイティブだと思っています。僕はいつもスタッフに『掃除をしろ』ではなく『デザインをしろ』と言っています。掃除をすると思うから楽しくないけど、クリエイティブをすると思うと楽しいでしょ。そうやって考えると、日々のすべてがクリエイティブになるのです。

今は、色々なタイプの美容師がいると思います。作品を創らなくてもSNSで人気を集める美容師さんもいます。でも、僕は美容師になりたいと思った時、一番に『デザイナーになりたい』という意識があったので、全てがデザインだと考えるようになったのです。

昔は、美容師はお客さんからも「先生」と呼ばれている時代がありました。でも、今は、立場が逆転してお客さんの方が上というか、ある意味、美容師が弱くなっていると感じています。だからと言って、上に立ちたいとか、先生と呼ばれたいということではありませんが、日々クリエイティブをしっかり考えることで、ここで一回、「この美容師は職人だ」、「この人はプロだ」と一目置いてもらえるようなクリエイターになれるのかなと信じながらやっています。


それと、僕は、いつも客観視することを大切に考えています。よく「周りのことなんか気にならない」という美容師さんもいますが、それは、経験して突き詰めた人たちだけが得ることができる、ご褒美だと思うのです。その域に達したら、自動的にお客さんが認めるものを創れるようにとなるのかもしれないですね。




若い美容師さんへメッセージ

今は、色々と便利なものが増えてきて、情報がすぐに収集できるような時代。便利になるということは、人間がもっと進化しないといけないというプレッシャーでもあると僕は考えます。

よく、「便利なものはダメだよ」と言われるけど、見れるものは見ればいいし、不便な時代よりも僕たちの方がたくさん情報を得ることができるのなら、その分、見たものを何百倍にも膨らませて、もっともっとレベルの高いものを創れるようにプレッシャーをかけなければならない。

色々な人の作品を客観視しながら鑑賞して、それを自分に置き換えて客観視すれば、客観視の深さも違ってくると思います。

さらに言えば、簡単に便利になるということは、それだけ競争率も上がるということ。僕も含めて、若い世代が先輩方を抜くことができるぐらい、共に頑張っていきましょう!



COVER LOOK BY
TSUBASA KAMITANI_SCREEN


HAIR・FASHION STYLING/ TSUBASA KAMITANI(SCREEN)
MAKE-UP/ KANA HASHIMOTO(SCREEN)
PHOTO/MASAYA TANAKA




神谷 翼

SCREEN / SISTER. BY SCREEN 代表
1984年生まれ
都内1店舗を経て2014年2月に神戸にSCREENをオープン。
2015年4月に2店舗目となる『SISTER.』 BY SCREENをオープン。
2016年2月SCREENを1、2Fに拡張オープン。
全ての技術において理論を追求し、サロンワークを中心に撮影、
ヘアーショー、国内外でのセミナーなど多岐にわたり活動中。


 

Editor

梅村 直顕

ガモウ関西 デザイン室 室長 / ディレクター。ヘアサロンからメーカー、社内広報物のWEBとグラフィックのディレクション・デザインに従事。

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